小松庵 「とことん、」
ごあいさつ
そば湯倶楽部
店舗紹介
とことん、の風景
●序章、ならぬ序景
●第一景/そばの実を保管する
●第二景/「自家製粉・手打ち」へ
●第三景/玄そばを買い付ける
●第四景/そばの生産者に会いに行く

●第五景/辛汁をつくる
●第六景/そばを打つ
訪ねる人/ルポライター吉村和久
9年前、小松庵の池袋メトロポリタン店を訪ねて以来の小松庵応援団。TVドラマの脚本づくりを経て、現在は、家族問題を題材にしたルポやコラムを執筆中。
著書は「妻には、言えない…。」ほか
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とことん、の風景
- 小松庵のそばづくりを見に行く
九年前から、小松庵にはハラハラさせられ通しです
 
 池袋のメトロポリタンプラザ店を最初に訪れたときからそうでした。そのレストラン街にあるほかの店は、いわゆるメジャーな店ばかり。小松庵は隅っこで、申し訳なさそうにお店を開いていました。ちょうどお昼時で、ほかの店は長蛇の列。ところが、小松庵だけ、閑古鳥が鳴いているのです。

 同情したというか、怖いもの見たさというか、思い切って暖簾をくぐります。入ってみて驚きました。というか、あきれました。内装にお金をかけすぎです。店の中央には、大人でも抱えきれないほどの大きな生け花まであります。あれがなければ、あと何人座れるか…。まったく採算というものを考えていないぞ、このそば屋は、と思ったものです。

 品書きをみると、せいろが800円。ほとんど知名度がない店でこの値段。お客さんがこないはずです。いつ撤退するのだろうか。早くもそんなことを考えてしまったのでした。ところが、店を出るとき、僕は小松庵の応援団になっていました。レジでお金を払うとき、「がんばってください」という言葉が出かかったほどに。

 不思議な感覚でした。そばのほうは…ま、良く言って、「努力のあとは見える」といった程度の評価だったでしょうか。つゆは最高にうまかったですが。とにかく、お店にやる気が感じられた。そして、ここが応援団になった最大のポイントですが、同時に、無鉄砲さや不器用さも感じたのです。食に携わる人たちが「売れるもの」「儲かるもの」探しに躍起になっているときに、その流れに逆らうかのような、「自分たちがいいと思うものを出すのみ」的な姿勢が伝わってきたのだと思います。

 あれから九年。あいかわらず小松庵応援団を自認しています。応援団といっても、いや、応援団だからこそ、小松庵には厳しい。縁あって、これから、小松庵のそばづくりの現場を工程ごとに訪ね歩いていき、その感想を書かせていただきますが、訪ねていく先々で、小言をぶつぶつ言うかもしれません。
 
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