そばの実がレタスと同じように思えてきます。
だから温度と湿度管理のための倉庫をつくりたい、と思いました。
かつお節は寝かせたほうが旨みは増す。
生産者はそのことを知っていますが、「保管するコストが…」と。
だからかつお節を一年間保管する専用倉庫もつくろうと思いました。
すると、私たちのことを心配してくれている人たちがこう言います。
「それは理想です。でも現実的じゃない」。
「大きなビルに店を出しているのなら、
もっと商業ベースな発想をしてくれないと困ります」と。
売り物になるこだわりではなく、お客様にわかりにくい、
つまり、商業的でないこだわりを積み重ねていくことは、
なるほど、ひとりよがりな行為かもしれません。
巨大な風車に一人で突っ込んでいった、あのドン・キホーテにも似た。
でも、私たちには、なにを出したら儲かるか、という発想はありません。
ちゃんと仕事をしたそばを出そう、という発想しかできないのです。
それは、私たちが、そば職人の集まりだから。ただ、それだけです。
ほかとちょっとちがうところがあるとしたら、
そば職人の文化が消えようとしていることに危機感をもって、
駒込駅のすぐそばにある店を飛び出してしまったことでしょうか。
もうあれから、十年が過ぎようとしています。 |